サステナブル住宅の推進と補助金

地球温暖化対策が建設部門にも求められる今、国は省CO2を実現する建築を推進するための取り組みをしています。

国土交通省では、「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」や「サステナブル建築物等先導事業(気候風土型)」などの補助金制度によって、サステナブルな住宅の新築や改修プロジェクトの事例を募集し、先導的事例として収集をしています。

今回は、この補助金制度について紹介をしていきます。

サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)

この補助金制度は、地球温暖化対策としての省エネ・省CO2を目指した先導的な技術を導入した建築プロジェクトを国が支援するもので、その事例をリーディングプロジェクトとして広く公示することによって、その技術を普及啓発することを目的としています。

具体的には、複数建築物におけるエネルギーの有効活用の取り組みや、非常時のエネルギー自立に関する取り組みなど、住宅やオフィスビルなどの新築や改修の事例が対象となります。

サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)

一方、こちらの補助金制度は、地域の気候風土に応じた建築技術の継承・発展と、低炭素社会の実現に貢献するため、伝統的な住文化を継承しつつ、環境負荷の低減を図るモデル的な住宅の建設に対して、国が建設工事費の一部を支援するものです。

自然の恵みを最大限に活かし、地域の気候条件に適した設計によって、エネルギー消費を抑えることで省CO2を目指すと同時に、環境負荷を抑えつつも快適な居住環境を実現するプロジェクトを評価するものです。

では、さらに「サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)」に焦点を当てて説明をしていきます。

サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)の背景

2025年、省エネ法の導入

2025年4月からはじまる「省エネ法への適合の義務化」は、『建物全体の断熱性能(Ua値)』、『夏と冬の日射熱取得率(η値)』、設備機器の『一次エネルギー消費量(BEI値)』を基準として定められた数値に適合させるといったものです。
また、それとは別に、伝統的に培われてきた環境負荷低減に有効な建築構法も重要であることから、これらの数値基準で評価するものとは別の評価基準が設けられています。

気候風土適応住宅の必要性

この数値基準とは別に設けられたものが『気候風土適応住宅』というものです。気候風土適応住宅は、各地の気候風土に適応した住宅設計をすることで、省エネ性と伝統的な建築構法の両立を目指すものです。

サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)の創設目的

この事業は、総合的な観点からサステナブルな社会を実現することを目的として、それに適う優れた家づくりを支援すると共に、先導事例として収集するものです。

それらは、2025年4月の「省エネ法適合」から始まる『気候風土適応住宅』の参考事例(リーディングプロジェクト)として、既に一部が国土交通省のサイトでも公示されています。

サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)の応募要件

この事業の応募要件は数値基準では定められておらず、

  • 地域の気候風土に応じた伝統的な建築技術を活用していること。
  • 環境負荷低減対策等によりCO2の削減等に寄与する住宅であること。

を柱として、風通しや軒の出による日射制御、地域材の活用や人材育成、地域の景観への配慮、土壁などの自然素材、ヨシズやスダレなどで暑さを凌ぐ住まい方までをも問うもので、多岐にわたって総合的な観点で審査されます。

土壁を使ったリビング(小牧の家Ⅲ

サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)の応募方法

サステナブル建築物等先導事業(気候風土型)への応募は、施主自身が行うことも可能ですが、専門的な知識を要するため、多くの場合、設計事務所、工務店が申請を代行して行うことが一般的です。

国土交通省のサイトにも、これまでの設計事務所等の事例が紹介されていますので、この補助金制度に関心がある一般の方、あるいは建築関係者の方々も、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)の補助金の金額は?

国土交通省のサイトでは、補助金の金額は以下のように記載されています。

気候風土に適した住宅を建てるために、通常の住宅に比べて追加でかかる費用の半分が補助されます。ただし、補助の上限額は、建設費全体の1割か、1戸当たり100万円のうち低いほうとなります。

例えば、壁をグラスウールから土壁に変更した場合、土壁の方が50万円高くつくとすると、その差額50万円の半分である25万円が補助の対象となります。建設費全体の1割が300万円であれば、補助額は25万円となります。

丹羽明人アトリエでは「令和5年度サステナブル建築物等先導事業(気候風土適応型)」に二つの物件が採択されました。

今現在、施工を進めていますので、その状況を丹羽アトリエのH.Pでも紹介していきたいと思います。もしご興味のある方はチェックしてみてください。

スケッチ いなべの家
スケッチ 戸塚の家

もっと土壁の家の魅力を実感したい方必見
丹羽明人アトリエのWebサイトには、100件を超える美しい事例集が満載!

他のブログ記事を見る