土壁ってボロボロ崩れないの?の疑問にお答えします!!

こんにちは、住宅設計を手掛けている建築士の丹羽です。
近年、自然素材への関心が高まる中で、特に注目されているのが「土壁」です。伝統的な日本家屋ではごく普通に使われてきた土壁ですが、現代の住宅にもその魅力は色あせることがありません。

はじめに本来の土壁とは

さてそこで、よく「土壁ってボロボロ崩れないの?」とご質問をいただくことが多いので今回はその疑問にお答えしようと思います、が、その前に・・・。

そもそも「土壁」とは、実は下の図のように、壁の中の部分のことで、竹木舞に荒土を塗り付けて作る壁の芯の部分のことなのです。そして、その土壁には表面をお化粧するために仕上げが施されます。
さて、それではボロボロ崩れていたのは一体何だったのでしょうか。

ボロボロ崩れていたのは「なに?」

土壁がボロボロ崩れるとイメージされている方に話を伺ってみると、そのほとんどが、「おばあちゃん家の壁がボロボロと崩れていました」とおっしゃるのです。

そこで、ちょっと思い出して欲しいのですが、おばあちゃん家の壁って、ラメが入ったようなキラキラした土壁では無かったでしょうか?

実はこのボロボロ崩れるものは「土壁」ではなく、先ほど書いた、土壁の表面にお化粧として塗られていた仕上げ材だったのです

このボロボロ崩れるものは「繊維壁」と言って、1950年代から高度成長期に流行した新建材の仕上げ材です。繊維壁は施工が簡単で仕上げのムラも少ないため、急速に普及しました。主に素材はパルプや紙繊維、化学繊維などです。

では、なぜ繊維壁がボロボロ崩れていたかと言うと、繊維壁に含まれている接着剤が劣化によって脆くなり、剥がれ落ちてきていたのです。

では丹羽明人アトリエが使用する壁の仕上げ材はどうなのかをご説明します。

自然素材は耐久性がとても高い

いわゆる新建材の繊維壁などとは違い、本来の自然素材である漆喰や土は経年劣化しにくいので耐久性は非常に高く、ほぼメンテナンスの必要はありません

丹羽明人アトリエがよく使っているのは、自然な色合いが魅力で、中塗り用としても使われる土を、フワッと優しい表情で仕上げる「中塗り仕舞い」です。これは”土”本来の質感が楽しめ、部屋の雰囲気を風情あるものにしてくれます。

安城の家」の中塗り仕舞い

写真のように、中塗り仕舞いの壁は落ち着いた色合いが魅力です。また他にも、もう少し明るい雰囲気にしたい場合などには「漆喰」を使うことも多くあります。

漆喰は、より硬い仕上げ材ですので、玄関や廊下などの手荷物で擦ってしまいそうな場所に使うこともあります。

一般に「漆喰」と聞くと、お寺や神社などの真っ白い壁をイメージされるかもしれませんが、丹羽明人アトリエでは「ハンダ」と言う仕上げ方をよく使っています。ハンダは漆喰に土、砂、藁スサなどを混ぜて塗るもので、真っ白ではなく少し温かみのある暖色の白い壁です。また、その砂や藁スサによってとても柔らかい表情となり、木の家にはとてもよく馴染んだ雰囲気の壁になるのです。

名東の家」のハンダ仕上げ

豆知識

初めに書いた通り、本来の「土壁」とは壁の中の部分のことで、竹木舞に荒土を塗り付けて作る、壁の芯の部分です。この「土壁」は、家を丈夫に、そして快適にしてくれる効果に満ちています。
「土壁」についてはまた改めて詳しくお話ししたいと思いますので、どうぞお楽しみに!

クロスと比べても耐久性抜群

先ほどの章で「中塗り仕舞い」や「ハンダ」といった左官壁は丈夫であることをお伝えしましたが、では一般的な住宅でよく使われるビニールクロスと比べ耐久性はどうなのか?の疑問にお答えします。

ビニールクロスは一般的に10年から15年くらいで張り替えましょうと言われています。ただ、ビニールクロスは静電気を帯びるので埃がついて汚れ易く、またスイッチ周りなどは手垢で黒ずんだりしていて、案外早く古びた感じになってきます。

つなぎ目から剥がれたり破れてしまったりして、10年を待たずして張り替え、なんてこともあるようですね。

一方、左官壁は丈夫で、かつ汚れにくいだけでなく、たとえ傷がついたとしても、それが味わいのある雰囲気になっていくので、よほどのことがない限り、塗り替えたりする必要はありません。

施工費はビニールクロスよりかかりますが、耐用年数で割れば、むしろ割安だとも言えます。

豆知識

「左官壁」を選択する際、皆さんが気になるのは、そのコストではないでしょうか。
例えば約30坪の家で比較した場合、ビニールクロスでは約20万円ほど。対して左官壁では約60〜65万円となります。一見、かなり割高に思えますが、仮にその家に50年間住まう前提で考えてみると、左官壁は塗り替え不要でメンテナンス費不要。一方、ビニールクロスの場合は途中3回の張り替えが必要となりますので、その廃棄処分費なども考慮すると、むしろ割高になってしまうのです。

まとめ

土壁がボロボロ崩れるといったイメージは、1950年代の高度成長期に流行した繊維壁によるものでした。しかし、本来の自然素材の左官壁は大変丈夫なもので、崩れるようなものではありません。

一般的な住宅で使用するビニールクロスと比べても、初期のコストはかかりますが耐久性が大変高いので、、むしろコストパフォーマンスはとても良いと言えるでしょう。

土塗り体験
土壁の魅力を感じるには、「土を塗る」という体験が一番。定期的に見学会で土塗り体験をおこなています。「お知らせ」にて、見学会の告知を行っています。是非チェックしてみてください。また、これまでの体験者の声や様子は、ブログ記事にて紹介していますので、そちらも合わせてご覧いただければと思います。

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