“ふらっと 現場をのぞいてみよう” 竹小舞・土壁編

第5回目の ”ふらっと 現場をのぞいてみよう!” は、
土壁塗り作業中の現場を見ながら、土壁の “良いコト” のお話をさせて頂きました。
 
この日は、また特に暑い日で、最高気温がなんと36°を超える暑さ。
 
そんな暑さの中でも沢山の方にご参加いただきました。
スタッフ一同、心からお礼申し上げます。
 
 
現場はまだ土が片面の半分くらいしか塗られていない状態でしたが、
それでもほんのり涼感が・・・。
『少し涼しいね』といった声が聞かれました。
 

(あれっ! 梁の上にもギャラリーが・・・。S君そこにいたのぉ。)
 
 
土壁の “良いコト” はいっぱいあります。
 
まず一つ目は『蓄熱性』。
夏は涼しく、冬は暖かく室内温度を保ちます。
ですので外気温の上り下がりにあまり振り回される事なく、
一日を通して比較的安定した室内温度環境が得られます。
 
2つ目は『調湿性』。
厚みのある土壁は湿気を吸い取ったり戻したりします。
おかげで梅雨時は “サラッ” と。冬は “うるおい” です。
 
また、壁の中で起こる怖〜い結露(壁内結露)の心配もありません。
 
 
ここでちょっと実験をしてみました。
まず、土壁の表面温度を測ってみると34.6℃。
 
霧吹きで水を吹き付けてみます。
 
すると、水はサッと吸い込まれていきます。
 
結構たくさん吹き付けても、どんどん吸い込まれていく様子からも、
土壁の吸湿力の大きさが解ります。
 
そのまま置いておくと、先ほど吹き付けた水はどんどん蒸発し、
表面が乾いていきます。
 
そこで、もう一度表面温度を測ってみると・・・、
おっと、びっくり!
 

 
 
なんと30.5℃に。
 
ほんの15秒ほどの間に3℃も下がっていました。
 
これは吸い取った湿気を吐き出す時の『気化熱』の効果。
こうして放湿時に壁表面の温度が下がる事が、
土壁による涼しさの秘密のようです。
 
 
さて、良いコトの3つ目は『耐震性』。
土を寝かして藁のリグニンと繊維分が沢山混ざり込んだ荒壁土は、
乾くと驚くほどに硬くなります。
 
多少の衝撃で崩れ落ちるようなものではありません。 
 
 
4つ目が『防火性』。
建設省告示第1359号によって土壁は『防火構造』と認められています。
ですので外部の仕上げ材に木の板を貼ることもできるのです。
 
 
そして5つ目は『遮音性』。
重くて厚みのある土壁は、
外の音を遮断して、静かな室内空間をつくってくれます。
 
 
6つ目は『匂いの吸着』。
焼き肉の匂いは明くる朝にはさっぱり。
ペットの匂いもあまりこもりません。
 
 
最後、7つ目は『コスト』。
地域によって、土壁の施行に掛かる費用のばらつきは多少あるようですが、
ここ中部エリアは壁土に適した土にも恵まれ、
比較的安価です。
 
「小舞荒壁工事」に要する費用は、
建築費全体のたったの2%ほど。
 
 
もう一つ、一番大事な事を忘れてました。
8つ目は『癒し感』です。
 
土の自然な色合いと、ふわっとした質感がなんともいい感じです。
 
心身ともに癒される空間になります。
 
 
 
 
いかがですか?
 
こんなにたくさんの “良いコト” がいっぱいの土壁。
 
魅力的だと思いませんか・・・。
 
 
 
 
さて、次の ”ふらっと 現場に見に行こう!” は、
外装・内装工事をのぞいてみよう・・・です。
 
木の良さを活かす大工さんの極意を、
一緒にのぞいてみませんか?
 
 
 
丹羽 明人
 

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