この春から毎月のように続けてきた現場見学会。その特別編として、先日「東濃桧の産地をめぐる体験ツアー」を東白川村で開催しました。
今回の案内役は、東濃桧の魅力を最大限に活かす『天然乾燥』にこだわった材木屋、「東桧」の桂川さんです。
東濃桧の魅力とは、細かく年輪の詰まった木目と色合い。そしてなんと言っても透き通るように温かみのある爽やかな香りです。東白川ではどのようにしてその魅力を逃すことなく木材生産しているのかを、植林の森から市場、製材所までを丁寧にご案内いただきながら見学してきました。
森から市場、そして製材所へ
まず初めに、東白川村森林組合の市場を見学しました。
参加者の皆さんにとっては初めて見る光景のようで、丸太が整然と並ぶ光景はなかなかの迫力です。
ここで目を見張ったのは、とても細かく詰まった丸太の年輪です。中には中心の部分の年輪が目では追えないほど細かいものもあります。それはこの木が実生の天然木であることを示しています。人の手で植樹されたのではなく、落ちた種から自然に発芽し、森の中の競争に粘り強く勝ち抜いて育った個体で、苦労して育った分、年輪が詰まっていて、とても粘り強く木目が美しい良材です。
このような良質な桧が育つ背景には、東白川の気候と地形の特徴にあるとのことでした。

続いて訪れたのは製材協同組合。
この日は日曜日でしたので製材機は動いていませんでしたが、敷地全体が桧のとてもいい香りに包まれていて、心身ともに癒されながら、木の乾燥法から製材の流れについての説明をお聞きしました。
樹皮から製材の端材、木屑までを紙の原料として。あるいは牛舎の床敷きを経て堆肥として活かされるなど、廃棄物として環境に負荷をかけることない資源でもあることも木の魅力ですね。

母樹林での昼食と散策
さて、次は母樹林へ移動です。

この森に立つ木々の樹齢は140年。
ここは東白川村で良質な桧を生産し続ける為に、村が守り続ける苗木生産のための森です。
この森の中で、地元食材を使ったお弁当をみんなでいただきました。空気の美味しい森の中で食べるご飯はまた格別でした。(お弁当に夢中で、写真を撮りそびれてしまいました 苦笑)
つちのこ館と天然乾燥材の製材所
午後はユニークな立ち寄りスポット「つちのこ館」へ。
ここ、東白川村は「つちのこ」が生息している(?)ことでも有名で、毎年5月には『つちのこフェスタ』を開催。なんと3000人もの参加者が全国から集まってくるのだそうです。
つちのこ発見から今に至る経緯の紹介パネルや、つちのこの再現モデルなど、クスッと笑ってしまうような楽しい展示もあって、結構楽しめました。
そして、この日の最後の見学場所、桂川さんの製材所「東桧」へ。
ここでは柱から梁材まで、最長8メートルの桧材が、じっくりと時間をかけて天然乾燥されています。広いヤードに集積されたストック量は圧巻。高温の人工乾燥では得られない香りや色合い、質感に魅了されてしまいました。
また、製材のデモンストレーションでは、一本の丸太から太い柱が製材される様子に皆さん釘付け。
挽かれて現れる木目の綺麗さと立ち込める桧の香りに魅了され、
“是非、東濃桧で建てたい!” との思いを強くしました。

今回の見学会を終え、
「森の木が家になるまでの道筋が見えて、木の家づくりにますます興味が湧きました」
「子どもと一緒に自然や木に触れられて、いい体験になりました」
「天然乾燥と人工乾燥の違いがよく分かり、家を建てる上での判断材料になりました」
などの感想をいただきました。
木の家づくりは単なる設計や施工だけではなく、その技術の奥深さや素材の背景などを知ることも大切。そのことでより一層、自分の家の価値を実感していただけるのではないでしょうか。
今後も、現場見学会や学びの場を通じて、家づくりの魅力をお伝えしていきたいと思っています。
akihito
