先日、大工の刻み加工を行っている工場で、ちょっと “コアな見学会” を開催しました。
会場は「緑ヶ丘の家」の施工を担当していただいている江口材木店さんの加工場。
木の家づくりは ”日本の山の木を活かすことから”
まずはじめに、今回の見学会の背景となる「日本の山の木を活かす家づくりの大切さ」について、参加者の皆さんと共有。日本の山を守るためには、適切に木を伐って使い、また植えていくという「山の循環」が欠かせません。
「木を伐ると山が荒れる」と思われがちですが、実は逆。手入れをしないと木々が混み合い、日光が入らず、山が弱ってしまうことにもつながります。山が元気であれば、水を潤し酸素を供給して私たちが暮らす街の環境をよくしてくれるのです。
こうした話に、意外にも驚かれる方もいらっしゃいました。
木の “個性” を活かす大工の技術
この家の大工を務めてくれるのは日置棟梁と弟子の日比野君。このお二人とは、もうずいぶん長いお付き合いです。

「手刻み加工」では、曲がりや節のある材も “欠点” ではなく “個性” として活かすことができます。目で見てその木材の状態を見極めて活かす。それは「プレカット」には不可能なこと。
木と向き合い、どう使うかを考えるのが大工の腕の見せ所。その奥義を大工の言葉で説明されると説得力がありますね。
ただ、「手刻み加工」といっても全て手道具だけで加工するわけではありません。
柱のホゾを切ったり穴を開けるなど、適宜、電動工具も使いながら、効率良く作業は進められていきます。


金輪継ぎの実演と“番付”体験
見どころの一つは ”金輪継ぎ” の実演。緻密に刻まれた材が、ぴたりと組み合わさる瞬間には、皆さんから「おお~!」という声が。

6mの木材を二本繋いで12mの長さの梁にします。上に乗ってみると、ビクリともしないその強さに皆さんとても驚いていました。

こちらは「番付け」の考え方を簡単に理解していただけるように作った模型、名付けて『番付君』。
これを使って建前体験もして頂きながら、図面だけではわかりにくい構造の仕組みや大工作業の知恵を立体的に理解できて、こちらもなかなかの好評でした。

参加者の声から
- 木を伐って山を循環させることの意味がよく分かった
- プレカットでは叶わない “手刻み” による木を活かす知恵の素晴らしさに感動
- 番付の考え方がよく分かって面白かった
伝統技術や素材の背景に触れることで、“家づくり” が単なる建築行為ではなく、山や人、技術とつながる営みであることを実感していただけたようでした。
さて、次回はいよいよ建前。これまで加工してきた部材を一気に現地で建ち上げていきます。
予定では6月20日(金)、21日(土)です。
ご興味ある方は、是非、見においでください!
建前見学会のご案内はこちらから!

akihito