豊かな暮らしを求めて移り住む
原村の家
- [竣工日] 進行中
- [坪数] 31.8坪
- [工事種別] 新築
- [家族構成] 夫婦+子供1人
- [構造・規模] 木造二階建て
- [所在地] 長野県諏訪郡
八ヶ岳の麓の別荘地「四季の森」に建てる、延べ面積約32坪の「木組み土壁」の家です。
住まい手はご夫婦とお嬢さんの三人家族。そして一匹のワンちゃん。都市部に住まわれていたHさんご家族は、裾野が緩やかに広がる八ヶ岳の雄大な景色の虜になり、
“いっそ、この場所に移り住もう!” と思い立たれました。
Hさんご家族はこれまでも土壁の家にお住いで、その蓄熱、調湿の効果が住環境をとても快適にしてくれるということを実感を持ってご存知でした。ですので、この寒冷地にあっても “絶対に土壁の家にしたい!” と思われたのだそうです。
土地を決める段階からご一緒させていただき、いくつかの候補の中から選ばれた土地は、緩やかに南に向かって傾斜した敷地で、南には村有林が広がる緑豊かな場所です。
寒冷地ならではの設計上のポイントは、まずは凍結深度に注意するということ。地盤の凍結により建物が持ち上げられないように、ここでは地表面から1メートル以下に基礎を掘り下げる必要があります。その他、給排水配管の凍結防止策として床下エアコンを採用することに。薪ストーブによる暖房を少しバックアップする補助暖房としても活躍してくれるもので、一石二鳥の効果を期待しています。さらに駐車場については、やはり屋根下に車を停められることが必須。雪や霜でウインドーが凍ってしまい、朝の始動が大変なことにならないためにも。
プランは一階の中心にリビングをおき、東側にはダイニングとキッチン、パントリー、裁縫室など、主に奥様の家事導線をまとめることに致しました。北側には水回りと、玄関へも通じるウォークインクローゼットを。そして西側には将来の寝室としての使用を考慮した客間を配置しました。
二階は子供室と主寝室。そしてその奥には、できるだけ家族の気配から遠ざけた仕事室を配置し、床と壁には幾らかの遮音効果を持たせるように致しました。
また、斜め天井の部分は全面小屋裏収納として空間の有効利用をしています。
このコロナ禍で一気に広まった「テレワーク」は、“仕事”と“暮らし”の場の距離をフリーにし、定住場所選びの選択肢を劇的に広げました。自分達が思い描く“暮らしのイメージ”に、より近い土地を探し求められる時代の到来です。
また、今回は遠隔地での設計となりましたが、やはりオンラインでの打ち合わせのおかげで、思いのほか密度高く設計のご相談を進めることができました。
こうして、木と土の家づくりの可能性がますます広がっていけば幸いです。