これからの本家普請
愛西の家
- [竣工日] 2021年4月
- [坪数] 40.3坪
- [工事種別] 新築
- [家族構成] 夫婦+子供3人
- [構造・規模] 木造 2階建て
- [所在地] 愛知県愛西市
愛西市はその名の通り愛知県の西端の町。平成の大合併によって、2町2村の合併によってできた木曽川沿いの市です。
敷地の廻りにはレンコン畑が広大に広がり、夏にはとても綺麗な蓮の花が一面に見られる素敵な地に建つ、延べ約40坪の木組み土壁の家です。住まい手はご夫婦と、高校生から小学生の3人のお子さんの5人家族。離れにはご主人のご両親が住まわれます。
今回は、明治30年に建てられたという約50坪の本家の母屋の建て替え。いわゆる「本家普請」です。ただ時代と共に生活習慣が以前とは大きく変わった現代では、本家に求められるものも大きく変化しました。
昔のように家で結婚式などを開くことも無くなりましたし、葬儀も今では専門の会館が一般的になりました。子沢山の時代とは違って親戚の人数も少なくなったので、法事や盆正月の親族の集まりも少人数となり、本家と言えども大きな家は必要無さそうです。
こうして住まい手ともいろいろ相談した結果、できるだけ規模を押えて計画することになりました。
この家の住まい手は「床座」の生活スタイルです。これまでも食事や寛ぐ場としては畳の間を使っており、椅子ではなく床に座る方が落ち着くとのことでした。ですので、家の中心を畳敷きのリビングダイニングにすることにしました。
隣接してカウンターキッチン。そして、その横に有る奥様の書斎は、家事をしながらホームワークがしやすいようにと考えてこの位置に設けました。
リビングダイニングの隣には畳の間。ここには代々受け継ぐお仏壇をお祀りし、襖を開ければ二部屋が繫がって大人数にも対応出来るようにしました。
二階は子どものための空間。何れはみんな巣立って居なくなるのですから出来るだけコンパクトに造ることに。3人を二部屋でシェアしながら使うことにしました。
これまでは若世帯が離れに、そしてご両親が母屋に暮らしていました。しかし、今回の建て替えを機に交代して、若世帯が中心となってこの屋敷の暮らしが始まります。こうしてこの場所を代々住み継いでいく節目とも言える家づくりです。
末永くこの土地に根差して住み継いでいける家になればと思います。

玄関
冬は玄関にコートをかけたいとのご要望に応えて、インテリアとしても馴染むようなコート掛けをつくりました。

リビングダイニング
床座の生活スタイルに合わせて畳敷きのリビングダイニング。ここを中心に各部屋に繋がります。

大黒柱と小黒柱はここに建っていた古い母屋からはずしたもの。一間半の襖を引き込むと八畳二間の大きな空間になります。

和室
太いタイコ梁と磨き丸太で組まれた力強い小屋組。古い母屋から外しておいた欄間やトコ板を活かしました。左官壁は浅葱土の切返し塗りです。

キッチン
クルミの木でつくったオリジナルキッチン。奥の引き戸を開けると玄関へ繋がります。

書斎
奥様のためのホームワークスペース。

キッチンから書斎を見る
家事とホームワークが同時進行できるように、キッチンに並べて書斎を配置しました。

ギャラリー
お子さんとご主人が一緒に過ごせる書斎のスペースです。両サイドに子供室が隣接しています。

洗面室
幅の広い洗面台は朝の混在時にも対応します。

脱衣室

浴室

物干し掛け
ヤマザクラと真鍮で造りました。家具職人と鍛治職人の共作です。

来客時には折り畳むこともできます。

古材を利用してつくった座卓
古い母屋の差し鴨居と大黒柱を活かして製作した座卓です。

古建具の帯戸
幅を調整して活用しました。
プラン

模型

スケッチ

1階 間取り図
