城崎通の家
杉さんの治療院
- [所在地] 愛知県一宮市
- [工事種別] 新築
- [構造・規模] 木造 2階建て
- [竣工日] 2013年11月
これは間口5メートル弱、奥行17.5メートル、敷地面積22.5坪の、いわゆる狭小敷地に建てる木組み土壁の家です。これまで設計させて頂いた経験の中で、最もコンパクトな土地での計画です。
この設計依頼をきっかけに目を向けてみると、案外にあるものですね。市街地にはこの規模の敷地が・・・。
建ぺい率60%容積率が200%ですので、土地の高度利用が可能な一方で、準防火地域の指定による防火上の制約が、木の家づくりに幾らかのハードルとなってきます。また、密度が高く建て混む中で、いかに上手く風を通し、日の明るさを得ることができるかが、設計する上での大切なポイントです。
土壁の良さはこれまでにもご紹介してきた通り、構造性能、蓄熱性能、調湿性能、遮音性能、そして、自然素材としての肌触りと循環性です。が、加えて今回は防火性能。土壁を入れることで防火性が備わるので、外壁を板貼りとすることができるのです。
ですからこの家の外壁は焼杉板貼りにしました。
一階は指圧マッサージ室。入り口を入った奥の受付から施術室に入ります。ここは疲れてダメージを受けた身体と心を癒すための空間。ですから勿論、壁は土塗り、床は杉板です。目に優しい土の色合いと温かくてソフトな足触りの杉床は、まさに癒しの空間にぴったりの素材ですね。
受付の先の内玄関からはプライベートなエリアです。
奥に寝室を設け、階段を上がるとリビングダイニング、キッチン、畳の小上り。そして、洗面脱衣室、浴室があります。
この小上りは、将来のご両親との同居も考慮して、襖による間仕切りもできるようにしてあります。
さらに、諸々の収納の為に小屋裏を収納に活かすことにしました。
全体の規模は大変コンパクトですが、機能性や居住性はかなり充実した家です。

リビング・ダイニング、小上り
普段は畳敷きの小上りもリビング・ダイニングの延長として一体の空間で暮らし、ご両親が訪れた時には小上りを寝室としてつかうことも想定して、その二つを続きの間形式に。

リビング・ダイニング、キッチン
リビング・ダイニングからキッチンをみる。階段室との壁を 「ガラス+格子」にすることで視線が抜け、 リビングに広がりを与える工夫をしています。

リビング・ダイニング、キッチン
リビング・ダイニングからキッチンをみる。

キッチン
ダイニングから奥に続く書斎。机は2人並んでも十分なスペース。 後ろは全面収納に。下の段は奥行きを深くし、幅のある本やアルバムも収納できるようにしました。

キッチン吊り戸棚
水切りラックをビルトインした吊り戸棚です。

キッチン吊り戸棚
扉を開けると、下の棚に組込んだ水切りラック。扉を閉めても下が開いている状態なので、濡れているものをしまってもしっかり乾いてくれます。

小上り
普段はリビング延長である畳のスペース。寝室としてもつかえるように、布団と衣類がしまえる「ハンガーパイプ付きの押入」を備えつけてあります。

便所2
居住エリアのための便所です。

洗面脱衣室
実験用流しとした洗面器、ドラム式の洗濯機から衣類を出し入れしやすくするために一段あげた洗濯機スペース。作業性を重視した洗面脱衣室です。

浴室
浴槽と床と腰壁までが一体成形されているハーフユニットバス。腰から上にはタイルを一段、さらにその上に杉の赤身の板を張りました。

小屋裏収納
約六畳のたっぷりな収納スペース。

玄関
通り土間の先にあるプライベートエリアのための玄関。階段を上った先の2階が主な居住エリアです。

寝室
玄関正面の引戸の先が寝室です。居住エリアの中で行き来の少ない寝室を1階に配置しました。

施術室
心安らぐ落ち着いた雰囲気の中で治療を受けてもらうために、土仕上げの壁とし、天井と床にはラフな木目で足触りの柔らかい杉板を張りました。開口部を絞ったほんのりと明るい空間です。

通り土間
治療院エリアと居住エリアの共通のアプローチとなる通り土間。 細長いニッチに飾られたコレクション達が出迎えてくれます。 正面のドアは居住エリアの玄関戸。

通り土間
通り土間の入口から取り込んだ光がすりガラスの格子壁を通して 施術室に柔らかく拡散します。

受付

便所
階段下スペースに設けた、1階寝室と治療院エリア兼用の便所。
プラン

模型

1階平面図

2階平面図
