身近な自然の恵みを生かす

太陽の日射しや季節ごとの風を家の中にうまく取り込む。
たとえ廻りがぎっしり建て込んだ敷地でも、それらをうまく生かす方法はきっとあると思います。その土地の様子をじっくりと観察し、身近な自然の恵みを生かすことは家造りのまず大切な基本だと思います。

また、最近よく耳にするソーラーシステム。
屋根に降りそそぐ太陽の熱や光を暖房や給湯に生かしたり、電気を発電して利用するこの技術は、補助金や融資枠の割り増し制度や機材そのものの低価格化により、随分導入し易いものになってきました。
それはまさに自然の恵みを有効に活用できる、とてもよい方法の一つであり、同時に自然破壊や地球温暖化を抑える、ほんのささやかではありますが、でも具体的な第一歩であると思います。






家族と共に成長する家

家族構成や生活のかたちはみんなの成長に伴ってだんだん変わっていきます。
出産で子供が増えて寝室が手狭になったり、やがて大きくなり一人づつ落ちついて勉強できるスペースが必要になったり。また進学して家から出ていってしまうこともあるでしょうし、いづれ結婚していなくなってしまうかもしれません。
家庭ではほんの数十年の間に結構たくさんの変化がありそうです。しかしそのたびに家を移るわけにはいきませんし、壊して建て替えることもできません。
家は、ある程度融通性をもたせて造っておいたほうがよさそうです。初めからこまかく仕切って造りきるのではなく、まず基本となる構造体をシンプルな架構にして十分頑丈につくり、さしあたって必要な部屋や機能をしっかり確保しておく。あとは場所によっては家具などで仕切ったり簡易な間仕切りにすることで、後の模様替えや間仕切りの変更に柔軟に対応できるようにしておく。
家の使い勝手に自ら手を加えられるという余地は、より一層住まいを身近なものとして感じさせてくれるでしょうし、私達住まい手の創造力をも掻き立ててくれるのではないでしょうか。また、それは家を有効に使い、かつ、愛着を持って永く住みこなすための秘訣でもあります。

山の木が木材として使えるまでに育つには少なくとも50〜60年かかります。その年月よりも長く住み継いでいくためにも、家族と共に住まいが成長し、変化していける事はとても大切なことだと思います。





自然素材の良さを生かす

木や土・しっくいなどの自然素材で包まれた空間は、中に入るとほんのりと気持ち良く私達の心をほっと和ませてくれますが、それにはちゃんと訳があります。
たとえば竹小舞いの土壁に漆喰やケイソウ土などの左官材料で仕上げた壁。それらには程よい蓄熱・吸放湿性能があり、夏涼しく冬暖かく部屋の中を保ってくれるだけでなく、冬の過乾燥や梅雨時の湿気による不快感をやわらげるというはたらきをしてくれます。もちろん化学物質とは違い、空気を汚染したりいやなニオイなどしませんし、それどころかむしろ幾らかの脱臭吸着能力もあると言われています。
また、木の無垢床などは、樹種によってもその特長は様々ですが、暖かみのある柔らかくてサラッとした感触が素足にもとても気持ち良く、ついゴロリと横になりたくなってしまうくらいです。ラッカーなどの塗装材で表面をコーティングするのではなく自然素材系のオイルで拭き上げておけば、木の良さを損なうことなく汚れを抑えることができますし、風合いを増すこともできます。

これらは新建材などとは違い、傷がついたり古くなっても、むしろそれが味わいとなり愛着が増してくることや、朽ちて壊れたときには自然に戻っていけることも自然素材の素敵なところなのでしょう。
まず、触れてみて気持ちいいと感じられる自然素材を適所に選んで使っていくことが、健康的な住宅を造るうえにおいて、とても重要なことだと思います。




国産の木で家を造る

日本の国土の約7割近くが森林です。
街から離れ、車で30分も走ればあたりに森の緑が見えてくる。まだまだこの国は緑が豊かなんだなぁと実感します。

ところで今、住宅の建築現場に目をむけてみると、何だか少しへんなことになっています。こんなに身近にたくさん木があるはずなのに、柱や梁などの構造材はもちろんのこと、床のフローリングや壁天井の内装材のほとんどが輸入材で造られているのです。
あまりピンとこないことですが、熱帯雨林やタイガ林などの森林乱伐のニュースも、実は私達と決して無関係ではありません。気が付いてみると、その片棒をかついでいるのかもしれないとハッとする思いです。

戦後、日本各地の山で大量に植林された木が、そろそろ伐り時を迎えます。
山は計画的に伐採し植林していくことにより、半永久的に木材という資源を確保できる生産の場であると同時に、空気をきれいにしたり水をたっぷり蓄えて浄化したりして、私達の生活環境をしっかりと支えてくれる働きもしてくれています。
この大切な森林を生かしていくためにも、そこに育つ木の成長サイクルに合わせて有効に活用していくというスタンスがとても大切なことではないでしょうか。
最近、山側と私達ユーザー側とがネットワークを組み木材を直接入手する、いわゆる産直の動きが各地で少しづつ起きてきました。流通コストをおさえたり、木材を家の設計に合わせて無駄なく使い切ることで良材を適正な価格で入手できる一つの良い方法だと思いますし、自分の家の柱がどこの山から来たものかを知ることができ、そのことが自然環境をもうひとつ身近に感じさせてくれることにもつながるのではないでしょうか。





木の特性を生かした伝統的な木組みによる軸組み

何百年もの間、思考錯誤を繰り返しながら培われてきた日本の木造技術。
それは木の持つ粘り強いという性質をとてもうまく生かした工法です。
金物に頼るのではなく、仕口や継ぎ手によって木と木をガッチリと組み込むことによって、全体をカゴのように固めた、とても粘り強い構造体にすることができます。

少し手間のかかる仕事なので、工期や予算のこと、それに、これができる大工さんが近くにいるかどうかといった問題もあるのですが、もし条件がそろえば是非取り入れたい工法です。









家造りとは、初めからこうあるべきだという明確な答えを用意できるものではないと思っています。
家を建てるにあたっての条件はケースバイケースです。
敷地の大きさや形はそれぞれ違いますし、廻りの環境も様々です。第一、住まい手の性格や好みもそれぞれに違うわけですから、その都度違った、それぞれに合った住まいの型があって当然なのでしょう。

はじめから、部屋数や広さ、建物のデザインや設備のことなどにとらわれるのではなく、まずはゆっくり、リラックスして振り返ってみてください。
普段、何気なくやり過ごしてしまっている生活の中の様々なことを。
どんな時に心が安らぎ、どんな事を楽しく感じられるかとか。あるいは、日頃子供たちとどう接していきたいと思っているのかといったことなど・・・。
さらに建築の枠を越えて、自然環境や地域のコミュニティーのことなども。

家造りとは、けっして専門家だけの領分ではありません。住まい手が自らの問題として、自身がまさに主役として取り組むべき、とても意義のある創造の機会だと思います。
住まい手にとっておそらく一度しかないこの機会。私達建築家は、信頼できる良きパートナーとして、共に納得のいくまで話合いながら、一つ一つ積み上げるように、じっくりと家造りに取り組んでいくべきだと思います。
そして私自身、一生懸命そう勤めていきたいと思っています。






家造りについて








ホームページに関するご意見、住宅などに関するご相談は下記までお気軽にお便り下さい。



一級建築士事務所 丹羽明人アトリエ
〒485-0037 愛知県小牧市小針
2丁目129番地
TEL 0568-77-0638  FAX 0568-77-7024